
黒井千次の「一日 夢の棚」が欲しくてAmazonを覗いたら、“新品/ユースド価格”に2,800円とあった。Amazonの販売価格が1,995円なのにナニ気に2,800円なのだと思われる方があるかも知れないが、なんのことはない、初版本なのである。
私も若い頃、初版本をよく買ったものです。
特に文学全集なんかは飛びつきました。ただ、これが切手やコインのように、どこまで価値が上がるのかは解りません。たまに古本屋を覗いてガッカリしているのが現状です。
初版本の扱い、Amazonではこのようなことがしばしばあるのでしょうか。
なんとなく懐かしくなりご紹介した次第です。
黒井千次著「一日 夢の棚」、書評を読むとわくわくします。
かつて黒井千次にのめり込んだ者としては見過ごせません。
『老いを意識しはじめた男の平穏な日常を切り裂く短篇集』
定年退職して数年も過ぎ、古希を迎え、老いを意識しはじめた男が見渡すごくありきたりの日常。そこには、若い人たちが逆立ちしても手に入れることができない、年を重ねてきた人だけが得られる特別な時間があるはずだ。もう終わりかけている歳月がもっている意味にはやはり何かがある・・・。
ー中略ー
12の短篇からなっているが読み進むうちに、はじめはさもありなんと納得していた読者も、作者の簡潔にしてずばっと日常を切り裂く描写に次第に胸騒ぎを覚えてくるだろう。そして、見慣れているはずの日常が、ぐにゃりと歪み、歪んだまま戻らないかのような思いで不安になる。
(「WEDGE6月号 5紙書評・気になるナンバー1」より引用)
この書評を読むかぎり、ぐにゃりとした不安に駆られます。
老いの意識、すでにその境界を彷徨っている。
彷徨い続けながら見渡すありきたりの日常は、摩訶不思議な混沌の世界。私も偶然に遭遇している日常を、黒井千次はどう提示してくれるのだろう。
もう終わりかけている歳月かあ、泣かせるね。
高校教科書や大学入試試験に登場する黒井さんの文章、これはなんともいえない美しさがあります。
Amazonなんて待てないので、今日帰りに本屋へ寄って探してみます。